花火の仕組みとは?もっと打ち上げ花火が楽しくなる知識について
夏が近づくと花火の音が聞こえてきます。
ドンっと響く音に期待に胸が膨らみ、花火を見るのが楽しみになりますよね。
花火は見るだけでも充分楽しめるものですが、花火について詳しい知識があると、さらに楽しむことができるでしょう。
そこでこの記事では、花火の仕組みや構造、命名などについて解説します。
日本の夏の伝統である花火について詳しくなることで、花火の楽しさが倍増するでしょう。
最後まで読むことで花火の知識を深めて、今年の夏を楽しんでくださいね。
打ち上げ花火や手筒花火の構造はどうなっている?
花火は、火薬と金属が混ぜこまれたもので、火をつけることでさまざまな色に光る様子や、音、形などを楽しむものです。
キレイな色や形に、花火を見ながらワクワクするのも花火の楽しみ方ではありますが、どうせ花火を楽しむのであれば花火について知識を深めるのも良いかもしれません。
花火はどんな仕組み、構造になっているのか、打ち上げ花火と手筒花火について詳しく説明するので確認してみましょう。
打ち上げ花火の仕組み
打ち上げ花火は、夜空に打ち上げて鑑賞する花火ですが、そんな打ち上げ花火はどんな仕組みとなっているのでしょうか。
以下3つについて説明します。
- 花火とは「星」の燃焼である
- 花火玉が打ちあがるのは「推進力」が関係している
- 花火玉が開くための鍵は「導火線」
花火とは「星」の燃焼である
打ち上げ花火は、以下3つの火薬が組み合わされることで空に打ち上げられます。
- 打ち上げ火薬→花火玉を空に打ち上げるための火薬。打ち上げ筒の底に敷かれており、点火することで花火玉を打ち上げる。打ち上げ火薬には、花火玉の導火線に点火する役目もある。
- 割薬→花火玉の中に入っており、打ち上げ火薬で打ち上げられた花火玉を破裂させるための火薬。花火玉が開くと同時に「星」を四方に飛ばす役目がある。
- 星→花火玉の中に入っており、破裂した花火玉から放出され、色が出て燃える火薬。花火として見ているのはこの部分。中には赤や青などの色に燃えるための火薬が入っている。星がどう動くかによって、花火の形や色などが変わる。花火とはこの星が燃焼しているものである。
とくに重要なのは、「星」です。
この星が予想外の方向に飛ばされたり、燃えず不格好なまま終わることがないように、花火職人が丹精込めて花火玉を作り上げています。
花火玉が打ちあがるのは「推進力」が関係している
花火玉を打ち上げるための火薬があることは分かりましたが、そもそもどうやって花火玉を打ち上げるのでしょうか。
花火が打ちあがる仕組み自体は、推進力が関わっています。
推進力を使って花火玉を空に打ち上げるためには、花火玉の大きさにあわせた打ち上げ筒が必要です。
打ち上げ筒をしっかりと固定したあとは、底に打ち上げ火薬を入れ、その上に花火玉をセットします。
打ち上げ火薬に点火することで打ち上げ火薬が爆発し、その爆風の勢いで花火玉を空に打ち上げることが可能となります。
大きな花火だと花火玉も大きくなるので、爆風の勢いも爆発もさらに必要です。
それなのに、なぜ花火玉は打ち上げ筒の中で燃えないのか疑問に思う人もいるでしょう。
花火玉の外側には、「玉皮」と呼ばれる新聞紙や和紙が何重にも重ねられており、中の火薬が爆発して飛散しないような仕組みとなっています。
そのため、筒の中では花火玉は爆発しないようになっているのです。
花火玉が開くための鍵は「導火線」
花火が打ち上げられても、花火玉が開かなければ花火は見られません。
打ち上げられたあと、なぜ花火玉は開くのでしょうか。
そのカギは、「導火線」です。
導火線に火がつけば、星が飛び花火を開くことができます。
この花火玉についている導火線は打ち上げ筒に入れる際、下を向くようにセットされており、打ち上げ火薬の爆発により点火される仕組みです。
勢いよく点火されても、導火線を進む火の速度は一定なので、導火線の長さを調節さえすれば、良いタイミングで花火玉を開かせることができます。
この調整が微妙だと、低すぎる場所で花火が開いたり、複数の花火玉が同時に開かなかったりなどの不具合を起こしてしまうのです。
花火がキレイに咲くかどうかは導火線を調節する、花火職人の腕の見せ所と言えるでしょう。
手筒花火の仕組み
手筒花火とは、火薬が詰め込まれた竹筒を人が持ちながら、巨大な火柱を噴出させる花火のことです。
大きな音を出しながら噴き出る炎の中、竹筒を抱えている人は仁王立ちしており、その豪快な見た目に心が奪われる人も多いでしょう。
手筒花火は、愛知県東三河地方を中心に行われており、今では多くの地域でも行われています。
そんな手筒花火の仕組みについて、以下2つを説明します。
- 手筒花火の肝である「竹筒」について
- 竹筒に火薬を詰め込み手筒花火となる
手筒花火の肝である「竹筒」について
手筒花火の竹筒とは、筋を抜いた約1メートルほどの孟宗竹に荒縄をしめつけ、砥石などを混ぜた黒磯火薬を詰めたものです。
孟宗竹とは、太くて丈夫な竹の一種のこと。
手筒花火に使う竹は頑丈な竹を使った方が良いため、割れやすい若い竹ではなく孟宗竹が使われています。
孟宗竹の中は火薬を入れる必要があるため、筋をしっかりと抜き取り、その後、強度を増すために「油抜き」という作業を行います。
油抜きをした後は荒縄を巻き付けて、竹筒の完成です。
竹筒に火薬を詰め込み手筒花火となる
完成した竹筒から花火を噴出させるためには、火薬をいれる必要があります。
火薬は、砥石などの鉄粉と黒色火薬を焼酎で混ぜ合わせ、それを3種類の大きさに分けて作成したものです。
作成した火薬は小さいものから底に詰めていき、専用の木の棒でしっかりと底に押し込みます。
詰め込んだ後、ハネ粉と新聞紙を詰めますが、手筒花火は噴出後筒を下に向けて竹筒の底が破裂する「ハネ」と呼ばれる爆発で終わる特徴があり、このハネ粉が「ハネ」をするために重要な部分です。
一般的な花火とは異なり、手筒花火は花火職人ではなく筒を持つ人自身が竹を切り、火薬を詰め込むところまで全て手作業で行うこととされています。
花火玉の構造はどうなっている?
花火玉の中には、一般的に「星」と「割薬」の2種類の火薬が入っています。
星は上空で光るための火薬で、割薬とは星を飛ばすために入れる火薬です。
花火玉は球形で、同心円状に星と割薬が配置されており、導火線に火がつくことで割薬が爆発し、その影響で星が放射線上に飛び出します。
そのため、星が二重に詰められていれば二重の輪の花火になり、何重にも重なる花火を作ることができるのです。
花火玉は「5号」や「10号」など号数で大きさを表しています。
花火玉を大きく作れば作るほど、火薬の量も増加し、打ち上げる場所や上空の高さも必要となります。
花火の命名法(玉名:ぎょくめい)、名前の付け方・呼称について
花火を楽しむなら、花火の名前についても知っておきたいですよね。
花火の命名について、確認してみましょう。
花火の名前、玉名(ぎょくめい)とは
花火の名前を総称して「玉名」と呼ばれており、玉名には花火の内容が込められています。
どんな色でどうやって開くのかなどが玉名に込められているので、名前の意味が分かれば「この花火はこんな花火だ」と理解することが可能です。
玉名は決まった法則で名前が付けられているので、ルールさえわかれば誰でも読み取ることができますよ。
たとえば、「昇曲導付三重芯銀牡丹先青点滅」と呼ばれる花火玉について説明します。
上記の名前を参考に解説すると、以下のとおりです。
分解方法 | 昇曲導付/三重芯/銀牡丹/先/青/点滅 |
上昇方法 | 昇曲導付(のぼりきょくどうつき):花火が打ちあがるまでに音や光などの細工がある |
花火の様子 | 三重芯:花火が開いた後、内側に円を描く芯が三重 |
花火の形 | 銀牡丹:銀色の牡丹の形をした花火 |
開いた後の変化 | 先:星の末端の変化がある |
花火の色 | 青:青色。星の末端が青色になるということ。 |
消える直前の変化 | 点滅:点滅しながら消える |
つまり、「昇曲導付三重芯銀牡丹先青点滅」とは…
「なにかしらの変化をしながら上昇した花火が、内側の円を描く芯が四重になりながら銀色の牡丹の形に開き、星の末端が青色になりながら、最後は点滅して消える花火」だと読み解くことができます!
玉名は長いので、単語を知っていなければ区切る場所が分からないかもしれません。
まずは単語を知っておくと、より多くのの玉名を理解できるようになれるかと思います。
玉名の用語について
玉名に使われる用語は多数あります。 主にどのような単語があるのか、確認してみましょう。
上昇中の変化
昇~ | 龍:太い尾を弾きながら上昇 小花:小さな花が開きながら上昇 |
昇~付 | 小花:小さな花が開きながら上昇 笛:笛のような音を鳴らしながら上昇 |
昇曲導付 | なんらかの細工がされている |
構造の様子
芯入~ | 内側に最低1つの芯が入っている |
八重芯 | 内側に二重の芯がある |
開いた後の様子
変化~ | 星の色が2回以上変わること(変化菊、錦変化菊などと使われる) |
引、引先 | 菊花の星が変化すること |
点滅 | ぴかぴか光ること |
花火の形
菊、牡丹、冠、柳など、多種多様な花火があります。
詳しくは下の記事をご参考にしてみてください。
消える直前の様子
光露 | 消える直前に光る |
群声 | 消える瞬間、ざーっと音が聞こえる |
点滅 | 光が点滅しながら消える |
色(伝統色)
紅、青、緑、黄、紫、銀、金、錦、輝が伝統色と呼ばれます。
単語さえ知っていれば、打ち上げ花火の玉名は理解できます。
どんな単語があるのか調べながら玉名を確認し、花火の鑑賞をするのも、より一層花火鑑賞を楽しむポイントかもしれません。
花火をもっと楽しむなら仕組みや命名についても知っておこう
花火は見て楽しむものではありますが、花火についてより知識があればさらに楽しむことができます。
「あれは菊花火」「あれは牡丹花火」など、花火の種類を説明できる人は多いとは思いますが、花火の仕組みや命名などについて知っている人は、かなり少ないかと思います…
花火の命名法や構造を知っていると、より花火について詳しくなれるだけではなく、花火職人の大変さや思いなどの理解にも繋がります。
花火の仕組みや構造、命名について理解し、もっと花火を楽しんでください!!
ちなみに、今年の豊橋祇園祭の日程は…?
【7月19日(金)】吉田神社境内 18:30〜22:00
https://www.aichi-now.jp/spots/detail/150/
◎大筒 8台
◎乱玉 8台
◎手筒 350本
【7月20日(土)】豊川河畔 18:00〜21:00
◎打ち上げ総数 約12,000発
◎金魚花火
◎メロディー・ワイドスターマイン 他
◎第37回 豊橋市長杯 8号玉花火コンクール
◎三河遠州選抜 スターマイン競演会
◎共同 川舞台花火
【7月21日(日)】吉田神社出発 17:00~
◎神輿渡御
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